· 

受け継いだものを活かしながら着物を楽しむという選択を

着物を活かし、その人らしさを楽しむ

先日、お客様のN様へご注文いただいていた襦袢と帯を納品させていただきました。

 

N様とのご縁は、お客様からのご紹介がきっかけ。

「高価なものを呉服屋さんで買わなくても、着物は十分楽しめるよ。」

そんなお話を聞いてくださったそうで、お母様から譲り受けた着物や頂き物の着物を一度見てほしいとご連絡をいただきました。

実際に拝見すると、そのまま着るだけではなく、解いて別の形に生まれ変わらせることのできる着物もありました。

その中でご提案したのが、普段着物に便利な二部式襦袢。

着物を解いて襦袢へリメイクすることで、活用していただけることをお伝えすると、とても興味を持ってくださいました。

2枚の着物をセレクトし、解き、洗いまでを済ませた状態で受け取り、二部式襦袢を制作。

実際にお使いいただくと、その便利さや機能性を気に入ってくださり、今度は夏用の麻の襦袢も追加でご注文いただくことに。

そして、その襦袢を仕立てた残り布で半幅帯を制作することになりました。

 

旅行がお好きなN様。

飛行機や世界の風景が描かれた綿麻の生地を見つけた時、「これ!私でしょ♪」と思ったそうで、その言葉を思い出し帯制作のご提案をしてみました。

すると快く乗ってくださり、今度は裏に合わせる生地をどうするかを考える時間が始まりました。

実は、この時間が私はとても好きです。

どんな素材を合わせようか。

どんな色味が引き立つだろうか。

どんな柄なら表地の魅力をさらに活かせるだろうか。

そんなことを考えながら、組み合わせを探していく。

私にとって、ものづくりの醍醐味ともいえる時間です。

 

そして迎えた納品の日。

N様は、合わせようと思っていた着物を出していてくださいました。

完成した帯をのせてみると、表も裏もどちらもぴったり。

笑顔を見せてくださり、私も本当に嬉しくなりました。

 

私は、新しいものを購入することだけが着物の楽しみ方だとは思っていません。

譲り受けた着物や、しまい込まれている着物。

昔のものだからこそ持つ魅力や価値があります。

それらを今の暮らしや自分らしさに合わせて活かしながら楽しむ。

そんな着物の楽しみ方があっても良いと思うのです。

呉服屋さんに並んでいるものだけが和装の正解ではありません。

自由に、自分らしく。

そして、今あるものを大切にしながら。

これからもそんな着物の楽しみ方をお伝えしていきたいと思います。