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丁寧に暮らす

桃の花が終わり

枝の皮を剥いで

その枝を和紙に包み持ち歩くとお守りになる

と言って、くださった。

 

ー袖振り合うも多生の縁

 

「喪服を活用していただけるんですか」という問い合わせの電話をいただいた。

私が”喪服リボーン”と称して、喪服をカジュアル着物にリデザインして販売している商品を観てくれたとのこと。

お嬢さんがご結婚するときに、喪服を持たせたが着ないので処分したい と 

引き取ってくれる先を探していて私に辿り着いたそうだ。

イマドキ、、この言葉の響きはあまりよろしくないが、、

娘の結婚の際に喪服を持たせるという想いも貴重。

着ないからと言って、捨てずに引き取り手を探すという行為も貴重。

更に、それをわざわざ届けてくれるというのも貴重。

そこからして、何かタダならぬものを感じた。

「車ではない」と仰るし、荷物なのでこちらから取りに伺う というと、

近くまで行く用があるので、という。

私も、ならば 乗り換え駅まで頂きに上がります。

そこで折り合いが付いたので、ではお茶くらいご一緒しましょう♪

という運びになった。

その誘いにも快く応じてくださった。

 

顔もわからない相手とお茶するのは、、

ドキドキもするが、不安ではなくワクワクだ。

ここまで着物に対する思いがある人 悪人のはずがない。

自らを還暦のおばあちゃんと表現するあたり 私の中では、年の割に美しい姿しか浮かばない。

 

ー小さなカフェでの待ち合わせ

 

迷うことなくお互いを認識しご挨拶。

いただく着物を検めたあと、会話に入る。

お互いのこと どちらからともなく話し出す。

お子さんのこと とは言っても、既に結婚し自立している息子や娘のこと、

老いた親のこと。

歳も近いので、周りのことは似通っている。

 

今のご自身の生活ぶりを聞くと、悠々自適。

想像した通り、この方は「丁寧に暮らす」人なのだということが伺い知れる。

週に二日のパートの仕事。

この年齢になってから、毎年かかさず自分の雛人形を出すという。

60年前のその人形は、お内裏様とお雛様の2体からスタートしたものらしい。

次の年に三人官女、

また次の年に五人囃子 と徐々に揃えられていったという。

そして今、壊れてきたお道具を改めたりしているが、木製のものに出会えなくプラスチック製のものばかりで

時代を感じるのだそうだ。

なるほど 古き良きもの という言葉が頭に浮かぶ。

着物も同様、、、

 

1時間弱のカフェタイム

私は、着物を頂いたお礼に”二十四節気の暦”を差し上げた。

よく理解してくれる方で、嬉しくなる。

季節を感じながら丁寧に暮らす人は知っている。

そして、和紙に小さく包まれた桃の枝をいただいた。

桃は女性の象徴。

お守りに持ち歩き、無くなってもそれはそれで、不運を持ち去ってくれたと思えばいい

と話してくれた。

ここでも、知恵を授かったような心持ちがした

 

たったこれだけの出逢い かもしれないけれど、

何か大事なこと・ものを授かったような そんなご縁。

着物がくれたささやかに見えるけど

キラリと光る出逢いだった。

 

有難うございます。